ゴッホの人生 3
9月10日付けの手紙のなかの次のような文章は、燃えあがるようなものと何かうそ冷たいものとがとけあっていて、ゴッホの心の姿をいたましいほどあざやかに示しています。
「人生はそのようにして過ぎてゆく、時は2度と帰って来ない。
しかし仕事をする機会が2度とないことを知っておればこそ、なおさらぼくは仕事に夢中になっている。
ぼくの場合はとくにもっと激しい発作が起きれば、永遠に絵を描く能力がダメになってしまうかもしれなのだ。
発作の最中に苦痛と苦悶を前にして、ぼくは気力がなくなる感じがする。
・・・必要以上に無気力になるのだ。
しかし、以前は治りたいとは思わなかったのに、恐らくこの精神的な無気力そのもののせいか、いまは2人分も食べ、猛烈に仕事をし、他の病人との関係から、またぶり返すことを恐れて、じゃんじゃん食べる・・・
とまれ自殺をしようと思っていた男が、もう1度岸にはいあがろうとするように、ぼくは今、治ろうとしているのだ」。