ゴッホの人生 8
ゴッホが伝道師の仕事を断念し、画家として立とうと思い定めたのは、1880年、彼が27歳のときのことです。
以後、1890年7月29日に世を去るまで、彼が絵画に費した時間は、まったくの修業時代を含めても、10年ほどのことに過ぎません。
しかし、このわずかな時間で彼が生み出した作品は、質量ともにまことにおどろくべきものと言うほかはないでしょう。
画家としてのゴッホの歩みは、オランダ・ベルギー時代、パリ時代、アルル時代、サン・レミ時代、オーヴェール・シュル・オワーズ時代というふうに大きくわけることが出来るでしょう。
もっとも「時代」とは言っても、パリ時代は2年足らず、アルル時代は1年あまり、サン・レミ時代は約1年、オーヴェール時代にいたっては、わずか2カ月に過ぎません。
にもかかわらずなお、これらを「時代」と呼びたいのは、ゴッホがそのそれぞれにおいて、鋭く深いスタイルの変化を示しているからです。
しかもその変化は、絵画という安定した秩序のなかでの技法上の変化にとどまるものではありません。
絵画の秩序を超えて、画家と世界とのかかわりかたそのものが、激しい変容と飛躍とを示すのであって、このような例はちょっと他に思いつかぬほどです。
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